第93章 白妙
吹いた風に舞い上がる花弁が雪の様だ、赤色の提灯で光る花弁が美しい。ひらひらと落ちては、堀の水まで白く染めてゆく。
「風流だねぇ…そう思わないかい?長谷部。」
「あぁ、そうだな。燭台切もたまには良い事を言う。」
「ふふ、君は主が居れば何でも良いんだろうに。」
ふんっ、と鼻で笑えば、君は本当に変わったと歌仙がおかしそうに笑う。
変わった、か。きっとどこの本丸でも俺達は審神者に合わせて変わっていくんだ、良くも悪くもな。歌仙、お前もだぞ、とは口に出して言わないがそれぞれ角が取れて来たとは俺も思う。
「長谷部君!こっちにその敷物持って来てくれないかい?」
「ああ、待ってろ。」
短刀達は初めて見る夜桜に嬉しそうに走り回り、飲兵衛達は既に始めている様だ。