第93章 白妙
「長谷部君こっちだよ!」
「…これを置きたい。」
手招きする燭台切と、重箱を両手に抱えた大倶利伽羅が立っている。その足元に敷物を広げ、端に石を置く。
「大倶利伽羅、これで良いか?」
「あぁ、すまない。予定より増えたな…」
「太郎さんが作るの手伝ってくれてたよね!山姥切君や山伏さんも。今回は僕が言い出したのに、あまり手伝えなくてごめんね?」
風呂敷を開いた燭台切がこちらを見ながら謝る。お前も主の為に動いたんだろう、ならば別に謝る必要も無い。
「俺達は夜桜を見るのは初めてだ、短刀達もこうして喜んでいるし謝る必要無いだろ。」
「ふふ、ありがとう。そうだ、これ、皆のところへ運んでくれるかい?」
屈んで差し出された一升瓶に手を伸ばした瞬間、後ろからどんっと誰かに抱き付かれる。