第93章 白妙
「私もさ、色々あったからあんまり笑うの得意じゃないけど、それでも気持ちが伝われば良いなって思って接してたんだ。それが長谷部の言う惹き付ける?とか、そう言うのと関係あるか解らないけどさ…」
大切に想ってるんだよ、君が必要で大好きなんだよって、気持ちを込めてる。
そう言って、俺ににっこりと微笑んだ。そうだ、あの時もこうして笑った主を見て安心したんだ。あの暗闇の世界で、最後に思い出したのもこの笑顔だった。
「主……落ち着いたら話があるんです。聞いてもらえますか?」
「ん?うん、勿論?」
白い桜の揺れる広場の入り口で、こちらに手を振る短刀達に気付いた主が手を振り替えす。
「あるじさーん!」
「大将っ!早く来ないと始めちまうぞ!」
急ごう!と俺の手を掴んで走り出す。その温もりが何より愛しいと思った。