第92章 夜桜
「…仕方ありませんね。ですが、これで最後ですよ?」
「おーう!酒の余興にゃ丁度いいねぇ。」
「‥頑張って。」
鶴さんが、片栗粉でささっとまぶした大豆を太郎さんに渡す。手慣れた手付きで中華鍋に油を入れ、熱を見るために手をかざした。
「太郎さんって料理出来るんだね‥知らなかったよ。」
「料理、と呼べる程の事は出来ませんよ。次郎太刀の酒の肴をたまにこうして作っているだけですから。」
「兄貴、そのデカイ鍋を使うの好きみたいだから、何かあったら頼むと良いよ〜」
温まりましたね。と、鍋に大豆を入れ、一粒一粒がくっつかない様に手早く菜箸で混ぜて、鍋を振るう。
「我が一振りは暴風が如し!」
あの長い爪で凄いな!流石、普段からあんな大きな大太刀を振り回してるだけの事あるよね。