第92章 夜桜
「……あ、伽羅ちゃんが笑ってる。」
「え、主ちゃんとこから見えてるの?どこ!?」
「燭台切さん、あそこだよ!」
主ちゃんと信濃君の高さまで屈んで、部屋の奥に目をやる。…あ、本当だ、珍しい物を見たね。厨の奥にある勝手口の辺りで、膝を抱えて踞った伽羅ちゃんが肩を震わせている。
「で、これはどういう事なのかな‥?」
「燭台切…と、主?信濃まで、そこで何をしているんだ?」
「あ、長谷部。」
丁度、厨横の納戸から出て来た長谷部君と鉢合わせた。隠れるつもり無かったのに、これじゃ何かおかしな事してるみたいで格好悪いな。
「えーっと…これはね‥?」
「ふっ、随分と格好良いじゃないか。」
うわぁ、やっぱり笑われた!可哀想な感じで笑われた!くっ…なんたる無様な……