第92章 夜桜
薄桃のワイシャツに灰色のカーディガン、濃紺のサルエルパンツ姿の信濃君がにっこり笑う。
「わぁ、似合うね!信濃君可愛いから何でも着こなしてくれそう。」
「えっ、可愛い?そうかな?大将は可愛いより格好良いのが良い?」
両手でキリッと眉を吊り上げて、きゅっと口を結ぶ。
「…どう?凛々しくなった?」
「かぁわいぃ〜!けど、可愛くても格好良くてもそのままの信濃君が好きだなぁ。」
よしよし、と頭を撫でられた信濃君が擽ったそうに笑う。
「あ、そうだ。信濃君、君さ太郎さんと次郎さん知らないかい?探してるんだけど見付からなくてね。」
え、大太刀の二人?と首を傾げた信濃君が指を指す。
「厨で見たよ?ちらっと覗いただけだけど、何か太郎太刀さんが凄かった。」
「太郎さんが厨に?また意外な所に居たね…」