第92章 夜桜
「えっ!?ちょっ、待って!」
「あはは、それ俺の台詞だよ!大将って良く見てるんだね、やっぱり実物の方が可愛いな。…ねぇ、懐入っていい?」
「はいはい、そこまで!」
主ちゃんを抱き締めて、胸元に額を擦り付けていた信濃君を引き剥がす。
何となくこの子からは薬研君に似た感じがするんだよね。大将組は本気出したら怖そうだから気を付けよう。ちぇっと唇を尖らせた信濃君が、肩を落とす。
「それで、信濃君はどうしたの?」
「さっき挨拶出来なかったからさ、ちゃんとしておきたくて。それにこの服、大将が作ったんでしょ?だから見せに来たんだ。」
くるっと回って、全身を見せた信濃君がまた主ちゃんの手を握る。
「いい趣味してるね〜!どう、似合う?」