第92章 夜桜
「お邪魔しまーす。誰か居る?」
「…参拝者ではないのか?なんてね。主じゃないか、帰ったんだね、お帰り。」
「おお、そなた主だな?お帰り。父に会いに来てくれたのか?どれ、こちらに来て良く顔を見せてみよ。」
「ふふっ、ただいまぁ。」
小烏丸さんに両手で顔を包む様に寄せられ、撫でられて擽ったそうに笑う主ちゃん。
「二人きりでどうしたんだい?今日の近侍は長谷部じゃなくて君なんだね、珍しいな。」
「僕が主ちゃんに頼み事をしてね、それで皆の所を回ってるんだ。…それにしても小烏丸さんが祈祷場に居ると思わなかったよ。何してたんだい?」
見た事のある箱を揺すりながら、青江君が怪しげに笑う。
「一回しだすと、なかなか止まらなくてね……ファンブルの事だよ?」
見た事のある箱、TRPGの道具入れから賽子を取り出す。