第89章 夢路
「ありがとう‥やっぱり優しいね。」
頬を染め、とても嬉しそうに、にっこりと笑う。
「…ふん、好きに言ってろ。」
照れた時の表情が好きだ、揺らめくその瞳が好きだ、その笑顔が好きだ、その声もあんたの全部が欲しい。
後頭部を掴んでいた手でぐっと押さえ、唇に噛み付く。
「っ…ん‥」
角度を変えて、深く舌を絡め、吸う。
背中から腰へ撫でながら舌を舐めあげていれば、強張っていた身体から力が抜けてくるのが解る。仰向けのまま膝を立てると、上に抱えていたこいつが前へ滑って、俺に跨がる形になった。
「……風呂の時みたいだろ?」
あの時を思い出したのか、また赤くなる。本当、あんたの百面相は面白いな。
目を見詰めながら、もう一度口付けをする。