第89章 夢路
あの時は戻ってくれたのが嬉しくて、ただただ抱き締めていた。腕の中のこいつをもう離さない様に。
柔らかい唇を啄む様に食んで、薄く開いた隙間から舌を差し入れる。
温かい舌と響く水音、舌を吸う度に小さく震える身体‥。こいつ以外に考えられなくなった頃、頭の中がぼやけ、意識が何処かへ行ってしまいそうな浮遊感を感じた。
…刀でも薬が効くのか?
「は…伽羅ちゃん、身体が熱い‥眠く、なった?」
「……知らないな、あんたのせいだろ。」
首筋を舐めて、鎖骨に口付けをする。
右手で太股を撫でて左手で腰を掴み、熱を持って起き上がった俺自身をこいつの腹部へ押し付ける。
「ぁっ‥」
「…眠れないなら寝かせる必要も無いよな?」
服の裾から手を入れ、脇腹から胸の下へと指を這わせる。