第88章 四月一日
「あ…あの、すみません‥つい。えっと、あ!俺も手伝いますね。」
「う、うん。」
雑穀米を器に装い、味噌汁と一緒に机へ運ぶ。
ホイル焼きと、ほうれん草と油揚のお浸し、里芋とイカの煮付けを盆に乗せ運んで来た主が、お箸と取り皿も並べて?と差し出す。
「二人きりで食事とは、不思議な感じですね。」
「そうだね、本丸でもこっちでも、大人数でご飯が当たり前だったから。さて‥じゃ、食べよっか?」
いただきます、と、手を合わせ、箸を握る。
そうか、今のこれが本当の独り占めにしている状態なんだな。一緒に寝て起きて、名前で呼んで呼ばれて、二人で料理して食事をして…
ふと、前に乱がこちらで読んだらしい雑誌の内容を、短刀達に説いていたのを思い出した。