第88章 四月一日
今は何時だ?朝日が眩しい。
目を擦り、ぐっと腕を伸ばして隣を見ると、昨夜抱いていた筈の愛しい人の姿は無く、部屋には俺だけだった。
「あぁ…寝過ぎたか。」
我ながら怠慢が過ぎるな。主より後に起きるとは、情けない‥ワイシャツのボタンを止め、髪を掻き上げる。
ベッドから立ち上がると、机の上の二枚の紙が目に止まった。
「‥こっちは主からか?」
『鶴丸からまた手紙が来てたよ!長谷部のはこれ→』
矢印の先に置いてある紙を手に取り、開く。
『ただ主を貸してやるのもつまらんからな、指令を出す。半日、主を名前で呼んでやれ。喜ぶぞ!そんじゃあな!』
世界一格好良くて優しい鶴丸様より、という文面を見て、これを書いているあいつの顔が容易に想像出来た。