第87章 国宝指定記念日

「これは…俺の紋の唐花を変えた物ですよね？桜、梅‥桃？何の花なんですか？」

手袋を手に嵌めると、長谷部が嬉しそうに刺繍を眺めながら大将に聞く。

「さっき買ってきてもらった花、桃の花だよ？ごめんね、私のオリジナルだなんだけど、あまり上手くいかなかった‥」

「いや、綺麗に仕上がってるよな！‥それ、大将の色だろ？」

「あぁ、主殿が本丸でお召しになっている着物と同じ色ですな。」

にっこり笑って、恥ずかしそうに頷いた大将を鶴丸の旦那が撫でる。

「きみ、今回は随分と頑張ったな！俺がちょっと本丸とも一緒に祝えたら良いなって言ったら、いつの間にかこうなってるし、俺も驚かされたぜ！」

「主、一生涯大切にします！」

俺も！と腕輪を着けて大将に見せると、安心した様に、良かった‥と、呟いた。