第87章 国宝指定記念日
目の前に出された苺をぱくりと頬張る。うん、甘酸っぱくて美味い。
「美味しい?」
こくりと頷くと、その顔で居なきゃダメだからね?と頭を撫でられた。
鶴丸の旦那はあの状態だし、旦那以外に今日俺達は何をするのか知らされていない。
なら、祝いが始まるまで待つしか無いか…
冷蔵庫から取り出された桃色の柔らかそうな菓子に缶詰めの桃を並べ、楽しそうに燭台切の旦那と話す大将を見詰める。
数日徹夜してた様子だし、今朝は極になった厚や後藤に心配されてたな‥平野も修行から帰って、障子が開いた途端に慌てて一兄を呼んだ位だ。一体どんな顔しながら机に張り付いてたんだか。毎回長谷部の事となると突っ走る癖は、何とかしないといけねぇな。
ふと時計を見ると、昼まであと一時間程だ。さて、一兄と長谷部はどうしたかな‥?