第87章 国宝指定記念日
「なぁ、燭台切の旦那は何か知ってるのか?鶴丸の旦那が企んでる事が気になって仕方無いんだが…」
調理中の二人の元へ戻ると、甘い香りがしてくる。
「僕も知らないんだよ。聞いても驚くぞ?としか言わなくてさ…。あ、ちゃん、その缶詰めの中身、全部出して残しておいてね。」
「了解。この汁と漉した苺のシロップを一緒にして良いんだよね?ゼラチンと混ぜるの?」
燭台切の旦那も知らないのか。って事は、一兄も知らされてないんだろうな‥てきぱきと缶を開き、中身を取り出す手元を見ながら考える。
「……桃の缶詰か。」
「そーだよ、出来上がりを楽しみにしててね!んー‥薬研、鶴丸が気になるのは解るけど、そんな眉間に皺寄せて怖い顔してたらだめよ?」
残っていた苺を摘まむと、俺の口元へ手を伸ばす。