第87章 国宝指定記念日
大将達が出来上がった洋菓子を満足そうに冷蔵庫へしまい、昼食の準備を始めた頃、玄関のドアが開く音がした。
「帰ってきたな。どう驚かせてやろうかな。」
例の可笑しな寝袋に入ったまま、すたすたと玄関へ向かう鶴丸の旦那。
暫くして、うわぁ!と驚く声が聞こえる。
「鶴丸殿!?驚くではないですか!何なんですかまったく‥主殿、メモ通りに買い出しをして参りましたよ。ご確認下さい。」
「主、ただいま戻りました。昼食の支度ですか?俺も手伝いますよ。」
「お帰りなさい。買い出しありがとうね!一期、長谷部。」
食材や酒の入った袋を受け取り、中を覗きながら嬉しそうに二人を労う。
「ところで主、この盆栽は俺が選んでしまっても良かったのですか?」
腕捲りをした長谷部が、小さな箱に入った物を大将へ手渡す。