第85章 暦
「ふぇ!?あ、あのっ‥?」
「…あんたの特別なんだろ?手伝ってはやる。だが、あんたが一番にちゃんと考えてやれよ?」
耳元にそう囁くと、顔を赤くしてこくこくと頷いた。
「おい、伽羅坊だけ狡いだろ!俺も俺も!!」
ぎゅうぅっと俺ごとこいつを抱き締める国永。ったく、これだから不本意にも"悪くない"と感じるんだ。
「は、なれろ国永!」
「うちの子達が可愛くて死んじゃう…苦しい‥」
腕の中で笑うこいつと、わざと俺の頭をわしわしと撫でる国永。
この本丸の奴等は、俺をどうしても放っておいてはくれないらしい。そんな鬱陶しい毎日を、居心地が良いと思い始めている、ってのは絶対に秘密だ。
「……おい、早く考えないと帰ってくるぞ!」
くりかわ!と叫ぶ二人はもう知らん。‥勝手にしろ。