第85章 暦
椅子に腰掛け、本丸の奴等に話し掛けるあいつの後ろで、ベッドに座り相変わらず熱心に本に目を落とす国永。
「…珍しいな。そんなに興味深い事が書いてあるのか?」
「ああ、面白いぞ!一月にある行事や、花や食べ物やなんやかんや沢山書いてある。ほら見てみろ、来月の一日は嘘をついても良いらしい!」
「はぁ…?」
えいぷりるふーる、と言うやつだ!と、目を輝かせながら手をぐっと握る。
「だがな、伽羅坊?その前にもっと大きな行事があるんだ。」
本の中を覗き、行事の予定を目で辿るが、今月の後半は彼岸と書いてある以外に来月までは何もない様に見える。
「何だ?何がある?」
ここだ、と指を指したのは三月三十一日。
の"特別君"が国宝指定された日だぜ?とあいつを指差す。