第85章 暦
「いや、大将、別に俺の分は良いんだぜ?」
「やだ、私も薬研と同じで皆に贈りたいし、ちゃんと自分のも選んでよ?主命です!」
主命ってのは便利な言葉だな、と頭を掻くと嬉しそうに頷いた。
光忠とへし切は買い出し、粟田口の二人は祝いの品探し、俺は近侍。で、国永は…?まぁ、どうでも良いか。
「……決まったんならもう行って良いか?」
「うん、じゃあ四人は気を付けて行ってきてね!」
伽羅ちゃんもお見送り!と俺の手を引き、四人分の上着を手に、ぱたぱたと玄関まで歩く。
何度も馴れ合いは嫌いだと言っているのにこいつは…
掴まれた手を握り返すと、今日は一緒に考えてもらう事があるからよろしくね?と俺を見上げてにっと笑った。