第10章 天空闘技場

「下衆め…2度とふざけたマネができぬよう左腕も削ぎ落としてくれる!!」

『あっと、カストロ選手の片方が猛然と突進!!』

………あーあ。怒りで頭いっぱいになってる。

カストロはヒソカに馬鹿一直線で向かっていき、ヒソカは余裕の表情で左腕を差し出した。まだカストロを翻弄するらしい。彼らしいやり方だと思った。

「は？」

本体のカストロの表情がこわばり、ヒソカは笑った。

「さっきから言ってるだろ？あげるって◆」

「……望み通りにしてやる!!」

カストロの攻撃がヒソカの左腕へと向かい、ヒソカは左腕も取られてしまった。私は再び、人の腕がちぎれる音を耳にした。

「……は？」

しかし、カストロの驚きの声が、今度は私の耳に入ってきた。左腕を攻撃した分身が消えたのが見えた。

「やはりダブルの方で攻撃してきたか…◆もし本体で攻撃してきたらカウンターくれてやろうと思ったのに………こっちで◆」

ヒソカが右腕を動かしながら、こう言った。観客やカストロは呆然としている中、私は別段動揺することもなくそれを見ていた。ヒソカの能力は何度か目にしていたからだ。

「くくくく、これも手品です◆さてどんな仕掛けでしょう？◆」

動揺するカストロに構わず、ヒソカはどんどん歩き出していく。

「くっくっく、どうした？怖いのかな◆」

ヒソカの挑発する言葉に何も言い返すことなく、カストロは後ずさっていく。最初の冷静さが嘘のようだ。

「…非常に残念だ◆君は才能にあふれた使い手になる…そう思ったからこそ生かしておいたのに◆」

ヒソカは不気味に笑い、そして宣言した。

「予知しよう、君は踊り狂って死ぬ◆」

ヒソカはそう確信した顔で、ニヤリと笑った。