第10章 天空闘技場
「え?」
マチさんの意外な言葉に私は思わず聞き返した。
「まぁ、ヒソカを見てればわかる事なんだけどさ。団員番号をわざと被らせるなんて初めて聞いたし、それに気付いてなかっただろうけど、あんたがほかの団員と話していた時なんて、あいつ殺気出してたし。あんたが言う単独行動ってのは、あんたを傷つけないためでしょ。あいつ定期的に人殺してないと、我慢が効かなくなるって言ってたし」
マチさんがいう言葉を聞いて、私はふと公園でのヒソカの言葉を思い出していた。…………ゴンたちをからかうために言ったものだとばかり思ってたけど…………
「まっ、あいつも人間らしいとこがあったってことだね」
笑いながら言うマチさんに、私は微笑んだ。なんだか、ヒソカの恋人って線も皆無ってわけではなさそうだ…。それとも…この優しさも同じ幻影旅団の仲間だからかだろうか?…。掴めない人だけど、根っから悪い人というわけでもなさそうだ。
「うわっ!?」
私は観客たちの声に再び、試合に目を戻した。まだ、ヒソカがパフォーマンスをしているところだった。
「答えは……」
グチャ
ヒソカは自分の腕の傷口に手を突っ込んだ。………ほんと、傷ついたところを弄るのが好きだな。そして傷口からトランプを取り出し……
「1だろ?◆」
と笑った。周りでは、
「当たった…」
「なんでた!?」
なんて観客たちが言っていた。
「記念にあげる◆」
ヒソカはカストロにトランプを投げたが、カストロはそれをはじいた。カストロは怒りで、ヒソカを睨みつけていた。
「…………あ」
私はそれを見て、ヒソカの狙いに気づき、そしてこの試合の末路も見えてしまった。