第10章 天空闘技場
「ヒソカの野郎…自分の腕を……」
「いかれてやがるぜ」
周りの観客がざわざわと騒ぎだした。私は息を一つ吐いて、壁にもたれかかった。ヒソカがやる気になったのが分かったからだ。ヒソカはスカーフを取り出した。
「僕の予知能力をお見せしよう◆」
『おやおや!?ヒソカがスカーフで右腕を覆い隠したぞ!!』
ヒソカが右腕を投げると、何かのショーみたいにトランプが舞った。
「………あんたも大変だね」
マチさんがボソッと呟き、私の耳に入った。私は彼女を見た。
「アレの相手するの、嫌じゃないわけ?」
私は少し考えて、
「基本的に単独行動が好きなようで……だからあんまり大変ってほどでは」
と、ここ1ヶ月のことを思い出しなら答えた。
「なるほどね」
すると、マチさんは納得したように頷いた。私は首を傾げ、
「何がなるほどなんですか?」
と聞いた。マチさんは私を見て、こう言った。
「ずっと疑問だったんだよ。私はさ、あいつは1人でしか生きられない人間だと思ってた。自分以外の人間を必要とせず、自分こそ最強だと思い、群れない人種。それがあいつなんだってさ」
マチさんの言葉に、私は頷いた。確かに、それがヒソカだ。
「あいつがあんたを推薦した時、不思議だったんだ。だって、誰がどう見ても、あんたはこっち側の人間じゃないからさ。で、さっきのあんたの言葉で分かった」
私はどきっとした。まさか……企みがバレた? 私は自分の言葉を思い出した。変なことを口走っていないだろうか。私のことはいい。だけど、ここまでセッティングしてくれたヒソカに迷惑がかかるのだけは避けたい。
「あいつがあんたといたいってことがさ」