第10章 天空闘技場
「次は左腕をいただく。まだくだらぬ余裕をみせていたいか?」
カストロはそうヒソカに問いた。私を含めた観客は固唾を呑んで見守る。
「うーん、そうだなぁ◆」
持っていた腕を、玩具のように回し始めるヒソカ。
………それ、自分の腕だよね…。
「それとも、綺麗で可愛い妹の目の前で、無様な負けを晒すか?」
ピタッ。回していた腕が止まった。ヒソカがゆっくりとカストロを見たのが分かる。
「先ほど控え室に、お友達と来てくれてね。なるほど、お前が可愛がるのも分かるさ。兄思いで、とても可愛らしい。群青色の瞳がまるで宝石のように輝いて……いや、彼女自身が光る宝石のようだった。この後、食事にでも誘おうかと思っていてね。構わないだろ?」
カストロの言葉で、マチさんがこちらを見るのがわかった。私は全く知らないという顔で、試合を見ているふりをした。何故、関係ない私の話をするのだろう。やはり、最初にカストロに否定しておくべきだった。
「………あぁ、別に構わないよ♦️ だけど、ちょっとやる気、出てきたかな……??◆」
ベリッ
嫌な音がし、目を凝らした私は、やっとヒソカが自分の腕の皮を噛みちぎったのだと分かった。