第10章 天空闘技場
しかし、ここでもまた会場を沸かせる事態が起こった。
「あげるよ◆」
なんと、ヒソカは自分から腕を差し出したのだ。何を企んでいるんだろう?私は首を傾げた。
「フン、余裕かそれとも罠のつもりか!?どちらにしても腕はもらった!!」
カストロはそう叫ぶと、ヒソカの左腕に攻撃した。
「……あ」
しかし、ヒソカの左腕が取られると思った瞬間、カストロは一瞬でヒソカの後ろに現れ、
「こっちのな」
ヒソカの右腕が宙へと舞い、会場からは盛り下がる声が聞こえた。
「本気で来い、ヒソカ」
私は久々に、人の腕がちぎれる嫌な音を聞いたのだ。
「くっくっく♦️なるほど」
ヒソカは満足そうに笑いながら、カストロから離れて自分の腕をキャッチした。
「君の能力の正体は…………君のダブル、だろ?◆」
どうやらヒソカも気づいたようだ。
「ダブル?」
隣のマチさんが呟いた。
「ええ。カストロは念によってもう1人の分身を作り、ヒソカが反応する瞬間にダブルを消して、本体であるカストロ自身が攻撃したんです」
私は無意識にそう説明していた。いつもキルに説明するみたいに。マチさんは私をチラリと見て、興味無さそうにふーんと呟いた。
「…なるほどね。だから一瞬で移動したように見えたんだ」
しかし、恐らくマチさんも大体予想はついていただろう。この人と私では、経験の場数が違いすぎる。私に予想がついたことなら、この人ならば当然分かっていたはずだ。私を立ててくれたのだろう。優しい人だ。