第10章 天空闘技場
「……くっ、黙れ!!」
カストロは再びダブルでヒソカに向かっていった。しかし、それも簡単に本体を見破られてしまう。
私でも余裕で見切れるほど、最初の時と比べて分身の質が悪くなっている。彼の動揺からか、はたまたヒソカの策略か。どちらかは分からないが、もう完全にヒソカのペースだということは誰がみても歴然だった。
「う、うわぁーーー!!」
とうとう無防備に突進したカストロ。
ドゴッ!
突進したカストロの下顎に、ヒソカのちぎれた左腕が完璧にヒット。しばらくは思うように動けないだろう。それは、戦闘の場においては、敗北を意味する。
「あっ……あ…」
それでもなんとか動こうとするカストロに、ヒソカはいった。
「ムリムリ、完璧に下アゴヒットさせたから…しばらく自分の意志では動けないよ◆…………だから次の攻撃をよけるのもムリ◆」
軽く指を動かすヒソカ。
「……決まりだね。ほら、行くよ」
「え?」
私はマチさんに手を引かれ、会場を後にした。最後に見たのは、
「うっ……ぐっ……」
と呻きながら、口から血を吐き、何もできないまま後ろに倒れるカストロの姿だった。