第10章 天空闘技場
『さぁーーーーいよいよです!!
ヒソカ選手VSカストロ選手の大決戦!!』
私は放送の声でハッと顔を上げた。息を落ち着け、私は試合を観戦することに集中した。試合を待ち望んでいた観客たちの盛り上がり方もピークを見せている。
『始め!!』
審判の合図で最初に動いたカストロだった。その攻撃をなんなく避けたヒソカ。そこから彼の反撃が始まるかと思ったのだが………
ドガッ
鈍い音が聞こえたかと思うと、攻撃をくらったのはヒソカだった。なんとかわしたはずの攻撃が、一瞬にして別の方向から飛んできたのだ。
…………やっぱり思った通りだ。
私は確信した。彼の能力を見たのはこれで2度目。1度目に自分の中で組み立てていたものが、はっきりと繋がった。
「………分身…」
それもかなり高度な技術を必要とする。残像ではなく、実態を持った分身。それが彼が使った念能力だ。
私はふぅっと息を吐いた。変な人だと思っていたけど、中々の使い手だ。イル兄やヒソカを含めて、なんで強い人って変な人が多いんだろう?
そう思っていると、カストロが構えた。新たに攻撃を仕掛けるようだ。
「出たぞ虎咬拳(ここうけん)!!まずカストロの方が本気になったぜ!!」
虎咬拳というのも彼の能力らしい。彼の周りの雰囲気が変わり、強い念を感じる。
「行くぞ!!」
と、カストロが攻撃を仕掛けようとした時だ。
「えっ? わっ!?」
私はそれを近くで見ようとした人々の波に呑まれてしまった。すると、周りの人々もそれに釣られて前で見ようとするわけで………。私はいつの間にか1人で、後方列にいたのだった。