第10章 天空闘技場
こうして、カストロの控え室の前に到着した私たち。扉の隙間からカストロが見える。
どうする?と私はキルをみた。キルは、ドアに手をやりながら、私に頷いた。
そのときだ。
「っ!?」
私は後ろに気配を感じ、とっさにキルを掴んで部屋の中へと下がった。キルはバタバタしながら、心底驚いたように私に叫んだ。
「んだよ!!危ねぇだろあね……」
しかし、目の前にいた人物を見て、言葉を失ったようだ。だって、そこに居たのは…
「私に何か用かい?」
先程控え室の中にいたはずのカストロが廊下に…しかも私たちの背後を取るような形で立っていたのだ。
………念能力者だ。
私はチラリと後ろを見た。先程までいたはずのカストロの姿はない。
「いやぁ、サインもらおうと思ってさ」
さっそくキルが私をチラリと見て言った。合わせろと言いたいようだ。しかし、わざわざ能力を使って、私たちの背後を取ったのだ。言い訳しても意味はないと思うのだが…。
「私のサイン?」
「ええ。私たち、ファンなんです」
仕方なく私も話を合わせた。すると、カストロはにこりと微笑んだ。
「…それは光栄だな。キルア君」
「げっ」
キルが驚いたように声を上げた。……ほらやっぱり。
「同じクラスのライバルくらいチェックしてるよ。ゴンって子は一緒じゃないのかい?」
キルが私のほうを見て、バツの悪そうな顔をしたので、私は肩を竦めた。ちょっと考えれば分かるでしょ。
「今日は敵状視察かい?」
「いやいや、ちょっとあんたを近くで見たかっただけさ」
キルは気を取り直したようだ。リラックスした状態でカストロと会話する。
「……で、私の印象はどうだい?」
「相当やるね」
「ありがとう。キルア君の絶もなかなかだったよ。キミは…アルミさん…だったね」
これには私も驚いた。