第10章 天空闘技場
「で、カストロどこ?」
言い出しっぺはキルなのに、欠伸をしながら私に聞く。私は係の人に聞いたことをそのまま伝えた。
「ここ曲がって左だって」
「あ、ちょっと君たち…」
すると、見張りのお兄さんに再び止められ、
「あ、ボク達、お兄ちゃんに会いに来たんだ。ね、お姉ちゃん」
と、その度に甘えた声音で私の手を引っ張るキル。
………どこでこんなの覚えてきたんだか…
私は苦笑いを噛み殺しながら、頷いた。
「すみません。どうしても行くと言って聞かなくて……。やはり、ダメでしょうか?」
段々申し訳なくなってくるので、そう尋ねると、係の人は
「ご、ご家族の方でしたら、どうぞ!!この通路を真っ直ぐ行ったところです!!」
と言ってくれる。………これはこれで申し訳ないなと、多少の罪悪感を感じながら、私たちは先へと進んだ。
「………姉貴、そんなのどこで覚えたんだよ」
キルが私に尋ねた。手はもう離れている。
「…何が?」
私の言葉にやれやれと首を振るキル。………本当になんなのだろう?