第10章 天空闘技場
「…しゃーねーな。試合は録画もしとくとして、とにかくオレと姉貴だけで観に行ってくるぜ」
私は別に見たいわけじゃないけど……キル、1人だけじゃ危なっかしいか。
「うん。約束守ったら録画したやつ見ればいいんだし」
「さ、行こうぜ」
「じゃあ、安静にしてるんだよゴン」
「うん、いってらっしゃい」
そして、会場に向かうと、そこはまだ廊下だと言うのに、盛り上がりを見せていた。
『ご覧くださいこの大観衆!!まだ決戦の1時間前だと言うのに会場はすでに超満員です!!』
と、放送の声もきこえてくる。しかし、キルはそこを素通りするのだ。
「あれ?会場に行かないの?」
私がそう聞くと、キルはニヤッとして、
「まだ始まんないからな。それよりさ、あっちに行く方が面白いと思わない?」
と言った。私はキルが言わんとしていることを察して、ため息をついた。付いてきて正解だったようだ。
「カストロのとこに行くのね」
すると流石姉貴だぜっと、キルは笑った。