第10章 天空闘技場
「ヒソカ戦大人気だぜ。すげー行列ができててダフ屋までいたくらいだ」
「へぇー」
キルアは2枚のチケットを見せた。
「姉貴、ラッキーだったな」
私は気付いたらポケットにチケットが入って、それを知るとキルは2枚で済んでよかったと言った。
「そんで、そいつらから色々聞いてきたんだけど……やっぱあいつただ者じゃないぜ。11戦して8勝3敗6KO、KO数イコール死人の数なんだってよ」
6人がヒソカの犠牲になってたのか。正直少ないと思ってしまったが、私と過ごしていたあの1ヶ月を思い出すと妥当か。
「そんで3敗は全部不戦敗。戦闘準備期間がなくなったら登録だけして試合には来ないってことらしいな…………つまり、ヒソカは実際に戦えば負けなしってことだ」
そして、今回のヒソカの相手はカストロっていう人らしい。唯一ヒソカからダウンを奪っており、お互い申し合わせて戦闘日を指定したのだとか。
「これで多少はヒソカの戦い方が分析できるぜ。本気のヒソカが見れるかもよ」
だからヒソカ、あんなにやる気満々だったのかと、ひとりでに納得していると、
「うーーん」
ゴンが考え込んでいるのに気づいた。
「でもいいのかな?ウイングさんとの約束が…」
「約束?」
私はその言葉に首を傾げた。何の話だろう?
「あぁ、姉貴は知らないのか。あのメガネと2ヶ月大人しくしとく約束をしてるんだよ」
キルのことばで、私はゴンの指に巻かれている紐に気づいた。
「まっ、大丈夫に決まってるだろ!ただ試合を観るだけなんだからさ…」
「ダメだね」
私はきっぱりとそう言った。
「え?」
「ウィングさんとの約束なんでしょ? なら守らなきゃ。ゴンは部屋で待機だね」
「はぁ!? なんでだよ姉貴!!!!!!」
キルが憤慨するが、私はダメなものはダメだと言い切った。すると、
「はい。アルミさんの言う通りです」
部屋の中にはいつの間にかウィングさんの姿が。
「試合観戦も念を調べる行為に相当します。ゴン君、君はあと1ヶ月治療に専念なさい」
「う、うん。わかった」
ゴンが頷くのを満足そうに見て、私に微笑んだ。
「やはりアルミさんがいて下さると、助かりますね。ですが、あなたも無茶は禁物ですよ」
「はい」
そして、ウイングさんは去っていった。