第10章 天空闘技場
「3…2…1…ハイ終わり」
終了の声とともに、私は大きく背伸びをした。少々鈍っていたが、どうにか勘は取り戻す事が出来たようだ。
「お前ガキのクセして中々やるな」
ノブナガが私にそう声をかけた。刀を鞘に戻す姿をみると、息も荒くなく汗もかいていない。
「まぁ、本気じゃなかっただろうし」
私が肩を竦めながら、そう答えた。恐らく彼は特攻を得意とする能力だろう。偶に見せる瞬発力や速さは、イル兄より上だ。ただし、技の技巧はあまりポキャブラリーはなさそうだけど。
最初の太刀は、手加減されているのが分かった。鈍い私でも見えたから。ただし、後ろに回り込まれた時は別だ。あれは見えていなかった。しかし……
「ねぇ、ノブナガ!!私の後ろに回り込む技って、あれさ……」
彼は恐らくハンゾーと同じ出身だろう。彼の話に出ていた、侍という部類。私は高揚するのが分かった。
「すり足を応用したものでしょ?全然見えなかった!!!!!!」
手合わせの結果、ミル兄より上、イル兄より下ってところ。しかし、初めて見る刀、すり足、それにチョンマゲは、私の興味を引いたのだ。
「あ、だけど、刀を一旦鞘に収めるのはやめた方がいいかも。それを出す音で、後ろにいるのが分かったし」
「お………おう」
刀を見せて欲しい。すり足をもう1回して。あと、チョンマゲ触らせて。そう口を開こうとした時、
「ノブナガ、文句はないか?」
「ああ」
団長さんがノブナガにそう言ったので、私は口を閉ざすしかなかった。ヒソカがちょいちょいと手を招くので、私は後ろ髪を引かれる思いをしながら、渋々とヒソカの元へと戻った。
「お疲れ♡」
ヒソカは何故か上機嫌だった。何か嬉しいことでもあったのだろうか?