第10章 天空闘技場
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もうすぐ1分が経とうとしていた。アルミへと目線を向けると、まだまだ余裕があるようだ。
それにしても…イルミは嘘つきだなぁ♡
ボクは思わずクスッと笑った。彼と話したのはアルミと会う三日前のこと。
「…………ふーん」
ボクはイルミにここ数日、寝る間も惜んで集めた情報を伝えた。イルミのことだ。家族に聞いてみると言うだろう。しかし、
「分かった。お前に任せてみるよ」
イルミは想像と違う答えを出した。
「何?」
「………いや♦キミが家族の意見を聞かないなんて意外だなって」
「まぁ、アルミのことはオレに一任されているし、それにあいつは勝手に死なないしね」
確信に満ちたイルミのその言葉に、ボクは疑問を持った。
彼女は呪いを受けた3歳位からイルミによる修行は受けていない。それなのに、その自信はどこからくるのやら。
「やけに自信ありげだけど、アルミが行くところは闇だ♦ 絶対に死なないって保証はないと思うけど?」
「そんなの関係ないよ。あいつは闇で生まれて、そしてこれからも闇でしか生きられないんだから」
イルミは淡々とそう答えた。たまに聞こえる風の音からして、彼は今移動中なのだろう。
「それにさ、キルもあいつもオレの最高傑作だし。そう簡単には死なないよ。じゃあ、オレは今から仕事だから」
そう言って、電話は切れた。その時は、ただ試験と同じくイルミが陰から見守るのかと思ったけど、アルミの言葉を聞いて確信した。
「念を始めて11年」
つまりは4歳から始めたということ。それが意味するものは何か。
「くくくく♦ 本当に嘘つきなお兄さんだ」
奇術師を騙そうとするなんて…さ