第10章 天空闘技場
──────
「………へぇ」
誰が洩らした声なのかは分からないが、この手合わせで旅団がアルミに興味を持ったのは言うまでもないことだった。
「ノブナガの奴、今の攻撃手抜いて無かったぜ」
「ただのガキかと思たけど、筋がいいヨ」
感嘆の声が次々に上がる中、ボクはクロロの隣に腰を下ろした。
「感想は?♦」
「…上出来だな。初めの太刀で終わらなかった時点で見込みありだ。ノブナガもあれなら、満足するだろう」
あくまでも皆を納得させるためだと言うクロロ。しかし、彼もまたアルミから目を離すことなく、見続ける1人だ。
「くくく♦ それだけじゃないだろ?」
本当、かわすのが得意な男だ。ボクは、彼が持っていた本を軽く指先で叩いた。
「アルミの能力は奪えたかい?」
なんだバレてたのかと、別に悪びれる様子もなくクロロは言った。
「できなかったな」
「やっぱり♦」
「面白い能力だから、欲しかったんだが」
残念だとクロロは言った。だが、その顔からして諦めている様子はなく、ボクはほくそ笑んだ。
アルミのあの能力が、クロロに渡るのもよし。何らかの理由でアルミから奪えなくともよし。これはどっちに転んでもボク好みの結果だった。