第10章 天空闘技場
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ゆったりとした足取りでこちらへ来るガキに、俺は多少イラつきながらため息をついた。
殺す気、か……ガキに刀を向けんのはちと気が引けるな…
だが、このガキが旅団に入るのに自分が納得していないのも事実。
「じゃあ、行くよ」
シャルナークのその言葉に、ぺこりとお辞儀するガキ。その姿をみて、つくづくこちら側ではないと感じる。
「よーい…始め」
ダンッと俺は地面を蹴った。悪いが一瞬で終わらせる。ガキに向かって刀を抜いた。切るつもりは無い。寸止めだ。そうすれば、少しビビらせれば、このガキも諦めがつくだろう。そう思っていた。
「…」
だが、ガキは身軽にそれを避け、逆立ちの時のように地面に手をつきながら、俺と距離を取ろうとする。
「甘ぇよ!!!!」
俺は連続で刀を振った。どれも急所とはいかないが、かする程度のはずだった。しかし……
「よっ…と…よっ…とと」
これもかわしていく。……なるほどこれもダメか……ならば!!
俺はガキと距離を取った。ガキがキョトンとした顔でこちらを見る。こちらが来る気が無いことを知ったのか、ガキがこちらに近づこうと足を踏み出した時だ。
「そんな簡単に来ちゃダメだぜ」
俺は一瞬で後ろに回り込んだ。