第10章 天空闘技場
「とまぁ、こんな感じです」
団長さんは死体をじっと見て、
「念を覚えてどのくらい経つ?」
と聞いた。えっと………修行が禁止された後に、お爺様から習ったから………
「11年…くらいですか」
「そうか。では、それは何系だ?」
次の質問は少々答えずらかった。
「それは微妙なところで…」
「微妙?水見式はやらなかったのか?」
水見式。自分の属する系統を知るための、最も簡単で一般的な方法。私ももちろんした。しかし…
「なんていうかその………消えたんですよね。コップごと」
「……消えた?」
私は目を瞑っていたから知らないが、その一部始終を見ていたお爺様が言っていたのだ。始めた途端に忽然と消えたのだと。そう言えば…その時言ってたな。
「……では、記憶からそいつを抹消することはできるのか?つまり、そいつがいたという存在そのものも消せるのか?」
またまた際どい質問をぶつけてくるものだ。私はしばらく考え、そのときのお爺様の言葉を使うことにした。
「いてもいなくても同じで、別段必要でもない存在だからこそ、すでに終わったものをどうにかすることができる…こう私の師は言いました。
つまり、どうでもいいことは、難なくできますが、私自体存在してもしなくてもいいものなので、ほかの存在に対して、過剰な干渉ができないそうです。だから、その質問の答えはノーとなりますね。」
私の話を静かに聞いていた団長さんは、持っていた本に何かをし始めた。メモでもしているのだろうか?
「……………なるほどな。いいだろう。ヒソカお前の推薦、認めよう」
団長さんのその言葉で、私は無事幻影旅団の一員となったのだ。
そういえば、実はお爺様の言葉はまだくのだ。
「だからアルミ。これを自分の力だと過信するでない。お前自身もこの力に喰われてしまうぞ」