第10章 天空闘技場
「……あ?やっと来たか」
てっきり私は会う人はひとりだと思っていた。しかし、それは違ったようだ。私は壊れかけた部屋には数人の人がおり、それぞれ私たちの方を見ている。
「クロロはまだ来ていないようだけど?♣️」
「用があるって言ってたけど、すぐ来るよ」
ヒソカの問いに答えたのは、見覚えのある女の人。確か………マチさんだったか。
「………今度はちゃんと連れてきたようだね」
私の顔をチラリとみて、マチさんは言った。………そ…そう言えば、あの話…まだ決着付いていないんじゃ………。今度は連れてきたって何だろう……まさか……………私殴られる!?!?私はさっとマチさんから逃れるために、ヒソカの後ろに隠れた。
「………へぇ♡」
な……殴られるのか。勘違いされたまま殴られるのか。いや別に、殴られるのはいい。小さい頃痛いってほどイル兄に鍛えられてきたから、痛みには強いほうだと思っている。痛みには強いが、恋路の邪魔をしているということが嫌なのだ。母様の嫌いなハッピーエンドに邪魔なキャラ。それが私…。そ、その立ち位置は………嫌だ!!!!
「キミ、緊張してるの?」
ヒソカがそんな私に問いかけた。違う。緊張ではなく、あの時ちゃんと誤解を解いて置かなかったことを後悔しているのだ。そう言おうとしたが、ヒソカの顔をみて言えなかった。
「そんなに震えてボクにしがみついちゃって♡」
その顔を見て、私は思い出した。ハンター試験の第四次試験のこと。あのキルが恐怖で、気を上手く消せなかったあの時のヒソカの顔を。今のその顔はあの時の顔そっくりだった。
「あいつ……殺意に対して我慢が出来なくなったんだよ」
その時キルが言っていたのを思い出した。なぜこのタイミングで?さっき発散させたばかりじゃないの?など色々疑問はあったが…
正直言って、ドン引きし過ぎて言葉がでなかったのだ。
「ねぇ、抱きしめていい?♡」
ヒソカが私に手を伸ばした。…………捕まったら死ぬなこれ