第10章 天空闘技場
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「おいおいおい…」
その光景に俺はつい言葉を漏らした。ヒソカが連れてきた旅団に推薦したいという奴は、まだ年端も行かないガキだった。あまり見かけない銀の長い髪に、幼い顔立ち…誰がどう見たってこちら側の人間ではないことは確かだった。
しかし、そんなガキは今、殺気がただもれなヒソカによって殺されそうになっている。禍々しい殺気で動けないのか…そのガキは動こうとはしなかった。後ろ姿だけで顔は見えなかったが、きっと恐怖で今にも泣きそうな顔でもしているのだろう。
「止めなヒソカ」
やはりそれを止めたのは、マチだった。団長に話を通したのは彼女だ。ここで殺されては面目が立たない。しかし、ヒソカは構わず手を伸ばす。
「……………ありゃ死んだな」
そうなれば俺らがここにいる理由もなくなるだろう。ったく、無視すればよかったぜ。俺がため息をつきながら、出入口に向かおうとすると、
「……ちっ、死んでナイね」
隣のフェイタンがつぶやいた。
「あ?」
振り返ると、そこには……
「くくくく♦」
「…………………………え」
ぬいぐるみを抱いた子供のように、ガキを抱きかかえたヒソカの姿だった。