第10章 天空闘技場
「………んー、ここら辺か」
私は辺りをキョロキョロと見渡した。ここはあまり人通りの少ない公園。噴水を中心とした野外遊びに適した場所のように思う。
「………あ」
いた。見つけた。しかし、私はそちらに行きたくないという思いが湧き出てきた。
「…………行かないとだめか」
色々考えて観念した私は溜息をつき、ゆっくりとした足取りで、そちらへと向かった。
「やあ♦ こんな所にいたのかい?」
「……何してるの?」
ヒソカは公園の中心、噴水のところにいた。しかも、噴水の中に。ヒソカは身体中水でビショビショだし、通りかかった人は変な人を見る目で見ている。
「水遊び♡キミも入る?」
「いい」
私は勢いよく首を振った。こんな好奇の目で見られるのに、それを気にしないという人はヒソカぐらいではないだろうか。そう思うくらいに、ヒソカはなんとも思ってない様子で………いや、いつもよりかなり上機嫌で……鼻歌を歌っている。
「なんで水遊びなんか………」
何気なく水面を見て、私は尋ねるのをやめた。少し濁っている水に、赤いものが混じっていたからだ。
「汚れたから♡」
ヒソカはびしょ濡れの体で、ベンチに腰掛けた。ベンチはたちまち水が染みるが、ヒソカはやっぱり鼻歌を歌っている。
………なるほどね。だから、機嫌がいいのか…
私は何があったか察し、被害にあった人たちに少しばかり同情しながらヒソカの方に歩き出した。
人と会う時間まであと少しだ。
「………………………服までびっしょり」
「水も滴るいい男だろ♡」