第10章 天空闘技場
「姉貴!!!!!!」
さっきよりキーンとした音が電話から聞こえた。
「今どこにいんだよ!!!!ヒソカと一緒か?」
「あ、うん。でももう帰るから…………あっ!?」
突如私の手から携帯が消えたかと思うと、それはヒソカの手へと渡っていた。
「やあ♦ ……そうボク♡」
電話の奥からキルの声が聞こえるが、何を言っているのか分からない。私はヒソカに返すように言ったが、彼はしーっと口に手を当て、静かにするように言う。
「くくくく♦ そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
「──────!!!!!!!!!!!!」
だめだ……このままヒソカに任せていると、後で私がキルに怒られる。
「ヒソカ!!お願い返して!!!」
私はそう懇願するが、ヒソカは笑うだけで、返そうとはしない。
「ヒ……ソカ!!!!!!!」
私はなんとか携帯に手を伸ばそうとするが、背丈が違いすぎるせいか、中々届かない。
「おい!!なんで姉貴の声が近く聞こえ………まさかお前っ!?」
電話の奥からキルの声が聞こえる。あと少し…。
「ボクは何もしてないよ♦彼女の方から誘ってきているんだ」
しかしヒソカのその言葉で、私の手は止まった。な……何を言って……!?
「ヒソカが私の携帯取るからでしょ!!!!!!いいから返して!!」
「姉貴がんなことするわけねぇだろ!!!!!!お前いい加減にしろよ!!!!!!」
キルと言葉が被った。しかし、ヒソカはまるで褒められたかのように、嬉しそうに笑った。
「イヤだなぁ♦ 二人からそんなに叫ばれるなんて…興奮するじゃないか♡」
これには流石に私もキルもドン引きだ。
「も………もういいから姉貴に変われよ」
「ヒ…ヒソカ……早く返して」
私は取るのを諦め、手を差し出した。ヒソカはそんな私たちの様子にも、変わらず嬉しそうに笑う。
「あ、そうそう♣ 彼女にちょっとした用事を頼みたいんだよね」
ヒソカは私の方をちらりと見た。…ん?なんか嫌な予感…
「だから、キミのところにはしばらく戻さないから♦そうだな…1ヶ月くらいかな」
「──────!?!?!?!?」
「じゃあまた♡」
キルが何かを叫んでいるのを完全に無視し、ヒソカはリップ音を1回させ、電話を切った。
「じゃあ、そろそろ行こうか♡」
ヒソカは呆然としている私を連れて、店を後にした。
