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ゾルディック家の愛され長女

第10章 天空闘技場


──────

試合終了後。俺たちはゴンを部屋まで送った。

「全治4ヶ月だとさ。このドアホ」

「……ゴメン」

俺の言葉にゴンは謝るが、それは俺の怒りを煽るだけだった。

「オレ達に謝ってもしかたねーだろ!一体どーなってんだこの中はよ!!あ!?」

「う、あうっ」

ゴンのおでこを少し乱暴につつと、顔を歪めるゴン。

「念を知らずに洗礼を受けた連中はイヤってほど見ただろが!一歩間違えばお前もああなってたんだ!この程度で済んだこと自体幸運なんだぞ!」

そこで、俺は気づいた。普段だったら、こういう諌める役は姉貴のはずだってことに……。まさか………

俺は昨日の姉貴の怒りっぷりを思い出し、ちらりと隣を見た。

「う~……でもさ、大丈夫かなって思った……」

パンッ

軽い音が部屋に響いた。言わずもがな、それは姉貴がゴンを平手打ちした音。

「大丈夫じゃないから、全治4ヶ月なんでしょ」

姉貴は昨日とは比較にならないほど、すごい形相でゴンを睨みつけていた。

「……ア…アルミ……」

これにはゴンもタジタジだ。当たり前だ。隣にいる俺でも、目をそらしたくなる。はっきり言って怖い。普段温厚な分、怖い。

「昨日言ったこと、もう忘れたの? 私しっかり言ったつもりだったんだけど」

「あ……いや……でも、俺、早くこの念を使いこなしたくて…………いっ!?」

ゴンが頑張って言い訳をするので、俺は思いっきり怪我をした腕に足を乗っけた。

………言い訳するほど、姉貴の圧がすごくなるぜ。

そう目で訴えた。するとそれを察したゴンは、ギュッと口を閉じた。だが、遅かったようだ。

「……そう。分かった」

姉貴はスタスタとドアへと向かった。ゴンはほっとしたように俺を見たが、俺は憐れむような目でゴンを見た。………あーあ…ほんと馬鹿だなお前。

「私が言っても、馬に念仏みたいだから、もう何も言わないし、言うつもりもない。でも、この人の言うことなら聞くでしょう」

姉貴が扉を開けると、そこにはメガネのおっさんがいた。
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