第10章 天空闘技場
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メガネは無言で中に入った。姉貴はそれを見届けて、俺に言った。
「キル、先に部屋戻ってる。お金借りていい?」
「…あぁ」
こんな状態の姉貴と二人きりは嫌だ。いくらでも持って行って構わないと、俺は頷いた。
「ありがとう」
「あ……」
姉貴はそのまま何も言わず、部屋から出た。ゴンは姉貴に声をかけようとしたみたいだが………遅かったな。
しかし、姉貴も姉貴で大変だが、目の前の眼鏡も当然怒ってるわけだ。ゴンは姉貴のことが気になっているようだが……これはまた怒られるな。
「あ…その、ごめんなさ」
パン!!
「あ」
メガネは、姉貴が叩いた方の頬を叩いた。姉貴が叩いた時も赤かったが、さらに赤くなっている。
「私に謝っても仕方ないでしょう!?一体何を考えてんですか!!
念を知らずに洗礼を受けた人達を見たでしょう!!君自身ああなっていても全くおかしくなかったんですよ!?」
「あ、それ俺がもう言った」
「全く……この程度で済んで良かった。本当にもう…」
頭を抱えるメガネ。こいつもこいつで心配してくれたんだな。なんて思ったら、二人から怒られ、反省した様子のゴンが、メガネに頭を下げた。
「ウイングさん…ホントにごめんなさい」
「いーーえ、許しません!」