第10章 天空闘技場
宙を舞う舞踏独楽。それに苦戦するゴン…。
「あのコマ一つ一つ操ってるのか?」
「と言うより、近くにいる障害を排除しているんだと思うよ。動きが雑だから………ほら、今の動きとか」
私はキルにそういった。キルはなるほどなと、再び試合に目を戻す。そして、戦いを見る事に集中し始めた。
「………あ…」
しばらくするとゴンからオーラが消えた。それを見てすぐに絶を使っているのだとわかった。
「ゴン!?」
キルは驚きの声と共に私を見た。
「あいつ目瞑ってるぞ!?」
「……でもコマは避けてる。視界を無くして、コマに集中しているんだよ」
だけど、それは防御を捨てて、コマを避けているってことであり………
「なっ!?ってことはあいつ………!?
バカ野郎!! ウイングが言ってただろ!! 念での攻撃を無防備で受けちまったら、生身の体はひとたまりもないんだぞ!!」
キルはハッとして、そう声を荒げた。そんなキルをよそに、ゴンは襲い来るコマを次々に避けていった。
「…………キル。言ってもゴンは止めないよ。昨日言ってたじゃない。この力を試してみたいって」
私はそう言って、キルを座らせた。
それからゴンは1時間以上もの間ギドのコマを避け続けていた。しかし、あえなく逃げ場のない場所へ追い込まれ敗退。
こめかみを押さえ、唸りながら天を仰ぐキルを連れ、私達はゴンの元へと向かった。