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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



一人とぼとぼと、駅の構内を歩く。
こういう時に目につくのは、幸せそうなカップル。
みんな、キラキラしてる。
楽しそうで、幸せそうで…。
好き同士一緒にいられるカップルって、特別選ばれた人たちなのではないかと思えてくる。


やっぱり現実は、映画のように上手くはいかない。


好きな人から好きになってもらえるのって、とんでもなく幸せなことだ。



大丈夫、付き合ってた訳じゃないし。
ここ数ヵ月、ほんの少し友達としての距離が近づいてたってだけ。
キスもしてない、体の関係があったわけでもない。
一度は諦める決意をしたじゃない。
あの時の決意を、もう一度引き戻せばいいの。

ただ、それだけのこと…。






自宅方面の電車に乗り、駅に到着する。
腕時計に目を落としてみると、時刻は18時半。
今日は夕食いらないって言ってあるし、何か買うか食べるかしないと。

ていうか、こんな気持ちの時にもちゃっかりお腹空くとか。
どうなってんの、私の体…。


自分自身に呆れつつ、辺りを見回す。
目に留まったのは、安さが売りのラーメン屋さん。


「あそこにしよ…」


パッと食べてパッと出て、もう今日は早く寝てしまおう。
迷うことなくその店のドアを潜った。

カウンター席に座り、看板メニューの醤油ラーメンを頼み、髪の毛をヘアゴムでひとつに結ぶ。
バッグの中のスマホを取り出してチェックしてみるけれど、赤葦さんからの連絡は入っていない。


ガッカリする気持ちに反して、ホッとしたような…。
だって次に繋がる時には、こんな話になるかもしれない。

遥さんとまた付き合うことにした、って…。


考えたくないのに、さっきからあの二人のことばかり。
暗い気持ちに蓋をするよう、スマホをバッグの底へと押し込んだ。



届いたラーメンをちょっとずつ啜る。
猫舌だし、いっぺんには食べられない。
ひたすらフーフーしていると、隣に誰かが座る気配。


他にも空席あるのに、わざわざ隣に…?


チラッと横目で見てみると、そこには私のよく知る顔が…。



「あ…」


「若い女が一人でラーメン屋?寂しくないの?しかもお洒落して。メチャクチャ目立ってるケド」


レンズ越しの薄茶色の瞳が私を覗く。
綺麗な顔に似合わずそんなツンツンした物言いをしてくる人物は、私の周りに一人しかいない。


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