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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



赤葦さんが口にした名前…。

今、遥って…言った…?

"あの" 遥さん…?


改めて遥さんの顔を覗く。
忘れもしない。まだ真冬だった。
一度だけ、赤葦さんと一緒のところを見かけたことがある。
もちろん近くで対面したわけじゃないから、顔の造形をしっかりとは記憶していない。


でも…

印象がだいぶ違う。

あの頃は、もう少し顔もふっくらしていて…




「大丈夫?歩ける?」


「京、治…?」


「汐里、代わるよ」


私がぼんやりしている隙に、赤葦さんは遥さんの腕を引き上げた。

彼女の肩を支えながら歩く赤葦さんの後ろ姿に、言い知れぬ感情が湧き上がってくる。


何を…考えてるの…私…?


遥さんは急病…、いわゆる、緊急事態…。
誰かが助けてあげるべきで、彼女をよく知る赤葦さんが手を差し伸べるのも当然。
むしろ、ここで知らんぷりするような人なら幻滅ものだ。

それなのに…
自分の意思とは無関係に、胸の奥にモヤがかかる。


赤葦さんの隣には、遥さんがしっくり馴染んでいるように見える。
今の私の目には、二人がそう見えてしまう。


遥さんを気遣いながら何か声を掛けている、赤葦さん。
それに答える遥さんは、さっきまで私に見せていた顔とは違う。
とても安心したような表情で、当然のように "京治" って呼んでいて。
それはまるで、かつて恋人同士だった二人の絆のようで…。

今心から感じるのは疎外感。
そして、私は何か勘違いしていたのではないか…ということ。
赤葦さんとほんの少し近づけた気がしていたけれど…。


まるで自信がなくなってしまった。









タクシーに乗り込む彼女を赤葦さんは心配そうに見守る。


私が…言うべきだよね。
病院までタクシーが連れていってくれるとは言え、きっと遥さん、心細いだろうし…。
赤葦さんだって気が気じゃないと思う。


「本当にありがとうございました。…京治も、ありがとう」


私たちに向かってお礼を言ってくれる遥さん。
何も気づかない振りをして私が黙っていれば…
赤葦さんは、ここにいてくれるかな…?



だけど……





「赤葦さん、一緒に行ってあげてください」





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