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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】




「「このあと…」」


思いがけず、汐里と声が重なる。

「…ごめん、何?」

「いえ。赤葦さん、どうぞ…?」

「腹、減らない?」

「あ、私もそう思ってました!」

「じゃあ、降りたら何か食いに行こうか」

「はい」

幸い、折り返し地点を過ぎた観覧車はすぐ地上に辿り着いた。


汐里とは付き合っているわけじゃないし、更には友達の期間も長い。
正直いくらそういう雰囲気になったからと言って、簡単に踏み越えられる気はしない。

今はまだ、このラインに留めておいた方がいい。
ゆっくりお互いを知って…
関係が変わることがあるとすれば、そのあとだ。

並んで歩きながら、そんなことを考えた。
少しずつ近くなっていくようなこの距離感に、気分が高揚するのを感じていたから。





駅のそばの洋食屋に入り、二人で食事をする。
俺はハンバーグで、汐里はオムライス。
汐里は何でも美味しそうに頬張るし、食べる量も遠慮することはない。
それが俺にとっては心地よくもある。
食事ひとつのことだけど、素の汐里を見せてくれているようで嬉しい。


空腹が満たされれば、時間は8時を過ぎていた。
これから電車で帰ったとすると、家に到着するのは9時前くらいだろうか。

すっかり暗くなった、初秋の夜。
ほんの少し秋めいた空気を肌で感じながら、俺たちは電車に乗る。

「汐里。家まで送るからね」

「え…?いえ!そんな、わざわざいいです!」

「ダメ。俺が心配だから。この前みたいなことがあったらどうするの?」

「でも…」

「送らせて?」

夜道を一人で帰すのは心配だ。
先日危ない目に遇ったばかりだし、ちゃんと家に入るまで見届けたい。

汐里は申し訳なさそうにしながらも、遠慮がちに頷いてくれた。

「あの、でも…」

「何?」

「実はさっきLINEで、母にパンと牛乳買ってくるよう頼まれて。コンビニ寄りたいんですけど…」

「いいよ」

「ああっ、何かすみません!どうでもいい買い物にまで付き合わせちゃって…!」

あたふたと恥ずかしそうにする様子も面白くて、見ていて飽きない。
そうこうしている間に汐里の家の最寄駅に到着した俺たちは、すぐ近くのコンビニへと入った。


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