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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



かき氷を食べながら考えていたことがある。

せっかく楽しみにしていた、今日の花火。
突如襲ったトラブルで、それを見ることができたのはほんの少しだけ。
汐里に対しては、申し訳ない気持ちがひとつ。


それからもうひとつは…


りんご飴に手をつけ始めたところで、俺はその提案を持ち掛けた。



「汐里」


「はい?」


「今度また、どこか行こうか」


「……」


「二人で」



木兎さんと三人でではなく、
成り行きで二人きりで、でもなく。


今度はちゃんと、俺の意思。


汐里とまた会いたい。
もっと、この子のことを知りたい。



「……ほんと…ですか?」



何度も瞬きしながら、俺の言葉を確かめるようにこちらに向き直る。
その姿を見て、汐里の答えがノーではないと理解できた。

「うん。どこ行きたい?」

「どこでも!」

うーん…
そう言われると、ちょっと…

「…って返事は困りますよね?」

そうそう。困るって程ではないけど、行き先に迷う。


「でも、本当にどこに行ってもきっと楽しいと思うんです。そういう時は、何て答えたらいいのかな?」


少し伏し目がちになり、長い睫毛を瞬かせ、両手でりんご飴を握る。

艶々で赤い球体。
それと同じように煌めく瞳と、赤味の挿した頬。

愛らしく、それでいて纏っている浴衣のためか色っぽくもあって…
胸を打つ音が速くなっていく。

―――そう、自覚せざるを得ない。




『もし浴衣姿でドキドキムラムラしちゃったら、ソレ、友達とは言わねぇからな?』




頭を過ったのは、黒尾さん似の先輩の言葉。



わかってますよ、言われなくても。
ちなみに、まだムラムラはしてませんから。
…たぶん。


この場にはいないその人に向かって、心の中で悪態を吐く。



「この辺なんてどう?」


スマホを取り出し、煌々と光るディスプレイを二人で覗く。
膝が触れ合う程近くなった距離が、ほんの少し照れくさい。
そしてそんなことを考えるようになってしまった自分にもまた、気恥ずかしさを覚えた。


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