第5章 glass heart【赤葦京治】
「赤葦さん」
「ん?」
「探してくれて、ありがとうございました。
さっき赤葦さんの顔見たら、ホッとして泣けてきちゃった」
「うん…」
そうか…
さっきの涙は、そういうこと…。
見つけられてよかった。
汐里に何事もなくて、本当に。
何をするでもなく、土手の上を歩いていく人並みをボンヤリと眺める。
汐里はああ言ってくれたけど、嫌な思い出を強く残してしまったことは確かだ。
それを思うと、このまま帰るのは何だか気が引ける。
かと言って、これからどこかへ行くのもどうなんだ?汐里は浴衣だし…。
少し考えに耽っていると、汐里に腕をつつかれた。
「りんご飴とかき氷、買いに行きませんか?花火もいいけど、せっかく来たんですから。美味しい思いして帰らないと!ね?」
そう言えば、さっき買ったたこ焼き。
あの酔っ払いの胸ぐらを掴む時に落としてしまった。
確かに腹はペコペコだ。
「それもそうだね」
俺が思うより、汐里はちゃっかりしている。
いや、物事の楽しみ方を知ってるのかな?
「屋台、きっとまだやってますよね?」
「たぶんね。行こうか」
汐里の手を取る。
今度ははぐれないように。
理由はそれだけ?
自分でもよくわからない。
でも、考えるよりも先に自然とそうしていた。