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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



焦りが先立つ中、人混みに向け彷徨わせていた視線を止め、ふと気づく。
さっきも考えたとおり、これだけの数の人間がいる中では余程のことはしないだろう。
しようものなら、誰かしら気づく。
この規模の花火大会なら警察も警備に当たっているはずだ。

むしろ人気のないところを探した方が…。



人の群れから離れ、花火が見える方とは反対側の川岸へ渡る。
案の定、まばらにしか人はいない。
一定の間隔で視界の端に差し込む、眩しい光。


心臓を撃つような重低音を体で感じながら、そこをひたすら走る。


「汐里ーっ!」


遂には汐里の名前を叫んでみるが、それも花火の轟音が邪魔をする。
相変わらず繋がらない電話に、募っていく不安と焦燥。


目に映る限り見えるのは、遠目に咲く小さな花火を眺める人々。
開けた視界の中ではひと目でそれが確認できる。


見当違いだったか?
人を連れ込めそうな場所なんて…


足を進めて行く先に高架が見えた。
あんな遠くまでまさか…と思うが、あの下なら十分な死角になるだろう。


考えるより先に走り出した。
次々打ち上げられる花火の音が、焦りを助長していく気がする。
まるで何かのカウントダウンにすら感じ、温い風を切ってそこへひた走る。

思ったよりスピードが出ない。
バレーに明け暮れていたあの頃なら、もっと軽快に自分の体を扱えていたはず。

「はぁっ…、マジかよ…!」

明らかに運動不足だ。
こんなことなら、ロードワーク程度でも体力維持しておくべきだった。
今ここで後悔することではない気がするが、そう思わずにはいられない。


もどかしい気持ちで辿り着いたその場所。


目を凝らしてみると、人影があった。
その二つの影のうちひとつは、暗がりでもぼんやりわかる白い朝顔。


「嫌だっ!!離して!!やぁっ…、触らないで!」


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