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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



汐里が口にした、焼きそばの屋台。
取りあえずはそこを目指す。
これだけの人混みだ。滅多なことはされないと思うけど…

いや……

強引に物陰に連れ込まれでもしたら、花火の轟音で周りからは気づかれないかもしれない。


早く見つけないと…!


とは言え、これだけ人がひしめき合っている中を掻い潜るのは一苦労。
全力でダッシュすればすぐに辿り着ける距離だというのに、思いの外時間がかかってしまった。

目的の場所まで到着する。

周辺に汐里は見当たらない。
電話をかけてみても、また繋がらない。


「あー…クソ…っ、」


何で一人にしたんだよ。
はぐれないように…って、そう危惧していたはずなのに。


額に滲んだ汗を手の甲で拭い、もう一度電話をかけようとした時だった。


体に響くほどの衝撃音が、空気を揺らす。


見上げてみれば、夏の夜空に華が咲いていた。


色鮮やかな、菊に牡丹。
職人によって作られた大輪の輝きは、遠く離れた星すら脇役へと変えてしまう。


ほんの一瞬だけ、その華に息を飲んだ。


周囲は歓声に包まれ、次々咲き誇る花火の響きと混じり合い、聴覚を占領する。


今夜この会場に足を運んだのは、まさにこの夏の風物詩を堪能するため。

それなのに、汐里はここにいない。

俺の判断の誤りのせいだと思うと、視界を彩る火の華に風情を感じている場合ではなかった。


取り合えず、汐里を探すことに専念する。
ひととおり会場の周囲を走ってはみたが、汐里が身に纏っている水色の織物は見つからない。
似たようなものを着る女性はいても、どれもあの浴衣ではない。


ただ単にはぐれただけなら、これほど焦りはしなかっただろう。
しかし、連絡が途絶える前の汐里の電話。
そして脳裏を過るのは、遊園地で汐里を性的な目で見ていた男たち。


こうしている間に、もし汐里の身に何かあったら…。


そう思うと、気が急いて仕方がない。



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