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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



一瞬、汐里かどうか判断つかなかった。

「赤葦さん。こんにちは」

「こんにちは」

爽やかに笑うその女性は間違いなく汐里。
それなのに、印象はいつもとだいぶ違う。

俺の知っている汐里は、大人っぽいというよりは可愛らしいイメージ。
色鮮やかなトップスだったりスカートだったりワンピースだったり。服装も女の子らしいものが好みらしい。

そういう汐里を見慣れているせいだと思う。
目の前の大人びた浴衣姿は新鮮だ。

深みのある水色の布地。
それに映える、大きな白い朝顔。
浴衣全体を引き締めるように、藍色の帯が腰に巻かれている。
きっちりと斜めに分け額を露にした前髪も。
白く長い首を強調した、アップスタイルも。


妙に艶っぽく見えるのだ。




「晴れて良かった。今日、楽しみにしてたんです」

笑顔の汐里を前にして、余所へ行きかけた意識が引き戻された。

「俺も。似合うね、浴衣」

思ったままそう言えば、桃色の頬に手を当て、はにかんだ笑みで少し俯く。

「ありがとうございます。何か照れちゃうな…」

正直に白状する汐里は可愛い。
こういう素直なところは、彼女の魅力のひとつだと思ってる。
見覚えのあるその表情。
やはりこの女性は紛れもなく汐里なのだとどこかホッとした。






目的の駅で電車を降り、花火会場へ向かう。
履き慣れない下駄だからゆっくり歩いた方がいいかと思い、歩幅は彼女に合わせて。

周りに視線を泳がせながら進む中、すれ違った若い男のグループが汐里に目を向けたのがわかった。

確かに目を惹く。

遊園地でナンパ待ちをしていたような連中がまたいるかもしれない。
はぐれないように気を付けないと…。


進行方向には軒を連ねる屋台が見えてきた。
こういう場所で食べ歩くのも、割と楽しみだったりする。

「腹減ってない?何か食べる?」

汐里は「うーん…」と小さく唸りながら辺りを見回した。


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